はじめに:営業の「あるある」と、見落とされがちな本質
「営業って、大変だよね。」 「なんか、売り込んでる感じがして苦手…」
こんな声を耳にしたことはありませんか? 私も営業職に就いたばかりの頃は、「モノを売らなきゃ」「成約を取らなきゃ」と焦る日々でした。
でも、経験を積めば積むほど、ある境地にたどり着きます。
営業とは、“売る人”ではなく、“見極める人”である。
本記事では、営業という仕事の「見極める力」に焦点を当て、読者のあなたが抱える営業の悩みやモヤモヤを、スカッと晴らすような視点でお届けします。
「煙が立っている」=「売れる」ではない
商談先で、お客様からこんな言葉を聞いたことがあるかもしれません。
「最近ちょっと課題を感じていて…」
ここで、「よし、チャンスだ!」と即座に商品提案を始める人も多いと思います。もちろん、それが刺さることもあります。
でも実際には、「煙は立っているけど、火はついていない」ケースの方が多いのです。
ここで無理やり火をつける、つまり「問題を無理に発見し、解決しようとする」営業は、たいてい失敗します。
なぜなら、それは “お客様のため”ではなく、“自分のため”の提案 になってしまっているからです。
無理に火をつける=「売りたいだけの営業」
火をつけることに必死な営業マンは、商品を売りたいがゆえに、お客様の本当のニーズを無視してしまうことがあります。
「お客様の課題を解決する」というより、「とにかく売上をあげたい」という気持ちが前面に出てしまう。
この姿勢は、短期的には契約につながることがあっても、長期的には信頼を失います。
本当に大切なのは、“火をつける”ことではなく、“火が出るかどうかを見極める”こと。
経験が教えてくれる「見極め力」
では、火が出るかどうかを見極めるには、何が必要でしょう?
答えはシンプル。
経験です。
経験を積めば、「この煙は熱いな」とか、「これはただの湿気だな」と、肌感覚でわかるようになります。
見極め力は、地道に顧客の声を聞き、過去の商談を振り返り、成功と失敗を重ねる中で磨かれていくのです。
火が出る予兆を捉え、一緒に動く
見極めた先にやることは、解決の提案ではなく、お客様とチームを作ること。
「火が出そうだ」と判断したら、営業は即座に“火消し部隊”ではなく、“プロジェクトマネージャー”として動く。
お客様は常に主役。営業はあくまでもマネージャー。
- 道筋を描く
- 必要なリソースを揃える
- 進捗を整理し、支援する
まるで社外の伴走者。そうなると、営業は「売る」ではなく、「一緒に解決する人」に変わる。
「問題ではないですね」の一言が信頼を生む
意外かもしれませんが、営業で一番信頼を得られる場面は、「売れた瞬間」ではありません。
むしろ、
「これはお客様にとって、現時点では問題ではないですね。」
と、冷静にジャッジし、無理に売り込まないときに、お客様の心が動くのです。
「この人、本当に自分たちのことを考えてくれているんだな」と、信頼が芽生える。
“売らない営業”が、最強になる理由
売らないことで信頼を得る。信頼を得ることで、次の商談が生まれる。紹介が生まれる。
その結果、「気づけば売れていた」状態になる。
営業は、短期の打ち上げ花火じゃない。 中長期で“信用残高”を積み上げる仕事なのです。
まとめ:火をつけるな。火が出る場所を見極めよ。
- 火が出ない煙は、放っておいても大丈夫。
- 大切なのは、お客様にとって「本当の火」がどこにあるかを見つけること。
- その火をどう消すかを、一緒に考えていくのが営業の本質。
- 営業は、お客様と課題を解決する“チーム”の一員。
- そして、自分はその“マネージャー”。
最後に:営業は、信頼をつくる仕事だ
数字も成果も、すべては“信頼”の上に乗っています。 だからこそ、焦らなくていい。 目の前の煙に振り回されずに、本物の火を見つけられる営業へ。
あなたの営業が、ただの「売る仕事」から、「価値を届ける仕事」へと変わりますように。
そして、何よりこの仕事を、もっと楽しめるようになりますように。
営業は、人生を知り、人生を変える仕事
最後にどうしても伝えたいのは、営業という仕事の“楽しさ”です。
営業は、お客様の人生に深く関わる仕事です。ヒアリングを通して、悩みを聞き、背景を知り、夢やビジョンに触れる。
営業は、相手の人生を知ることができる仕事。
ときにはその出会いが、その人の人生を変えるきっかけにもなる。
営業は、誰かの人生を変えることができる仕事。
こんなに尊くて、やりがいがあって、ワクワクする仕事が他にあるでしょうか?
「売る」ためではなく、「支える」ために存在する営業。 それを誇りに思えるようになると、営業の毎日はもっと楽しくなる。
あなたの営業が、誰かの人生を照らす光になりますように。

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